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山下さんからカニエ・ウエストの歌詞について訊かれて
,任蓮展覧会場にカニエ・ウエストの歌詞解説を置くことになった経緯をご紹介しています。
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Kanye West の人生について(資料の引用元)
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会場での配布資料には、文字数制限のため引用元の記載ができませんでした。
ここでは、Kanyeの半生(〜2008年)にまつわるエピソードとともに、引用元のリンクをご紹介します。歌詞のくわしい解説は、ぜひ会場の配布資料をご覧ください。
1977年、ジョージア州アトランタにて、Kanye West 誕生。
父は、元ブラックパンサー党のメンバーで、のちにアフリカンアメリカンで初めてフォトジャーナリストになったひとり、Ray West。
母は、若いうちから公民権運動に参加し、のちにEnglish&Speech分野の大学教授となったDonda West
母Dondaは、Chicago State Universityでの仕事のオファーを受け、イリノイ州シカゴに移住を決める。Kanyeは母に引き取られ、大学までシカゴで過ごすことになる。父Rayは、そのままアトランタに残った。Kanyeと父は夏のひとときを一緒に過ごしたりしていたが、のちにRayに新たな家族ができ関係が疎遠になった。(しかし現在の関係は悪くない。)
1987年、母Dondaが研究者や教員のための国際助成プログラムに参加することになり、中国の南京大学で教鞭をとることになった。当時10歳だったKanyeも、Dondaとともに南京に1年間住んだ。Kanye は新しい環境になじむことに苦労したが、母との絆を深めた時期でもあり、中国は彼にとって思い入れの深い場所となっている。中国から帰国後、またシカゴに戻った。
Kanyeは幼少期から絵や詩の才能を発揮し、周囲の大人を驚かせてきた。
1997年、Kanyeが高校を卒業する際、シカゴのアートスクール American Academy of Artから奨学金を受け、絵画コースを受講する。1年も経たないうちに、母が教鞭をとるChicago State University のEnglish & Speech学部に編入。しかし、また1年も経たないうちに大学を中退し、音楽活動に専念するようになる。(当時、母Dondaは、良い人生を送るためには大学の学位が必要だと信じて生きてきたため、当時は息子の行動が理解できず激怒したが、のちに「学位の必要ない良い人生もあるのね」と語ったらしい。)
90年代半ばから音楽活動を始めたKanye West。なかなかブレイクスルーが見えなかったが、2000年以降、JAY-Zに音楽のプロデュース能力を見出されたことが転機となり、JAY-Z、Ludacris、Alicia Keysなどの楽曲をプロデュース、たくさんのヒットを生み出し、プロデューサーとしての地位を確実なものにしていく。
2001-2002年頃ファッションデザイナーAlexis Phiferと交際を始める。KanyeがJAY-Zに出会い、音楽プロデューサーとしての仕事を始めながらも、自身の音楽制作に悩んでいた頃に出会い、付き合い始めた恋人だった。
同じころ、Kanyeは大きな交通事故に遭い、神との関係を見直すきっかけとなった
2004年、ラッパーとしてのデビューアルバム『The College Dropout』リリース。アルバム名は「大学中退者」という意味。
母Dondaは、約30年にも及ぶ教授人生に終止符をうち、Kanye Westの専属マネージャーに転身。Kanye Westのファッションブランドなどの団体のCEOなども務めた。
2006年いろいろあってAlexis Phiferと一度別れたが、復縁したのち婚約
2007年11月母Dondaが美容整形手術の翌日、死去。手術を担当したJan Adams氏は「手術に問題はなかった」と主張するが、Kanyeは現在もJan Adams氏に対してつらい気持ちを抱き続けている。
原因は明言されていないが、当時すでにKanyeは音楽活動やメディア出演で忙しく、Alexisとの関係にひびが入りがちだったらしい。そして母の死後、決定的にすれちがいを修復できなくなり、婚約破棄に至ったという見方がある。
Alexisは、People誌のインタビューで、Kanyeについて「今まで出会った中で最も才能ある人のひとり」であり、これからも彼の幸せを願っていると話している。
2008年9月〜10月、自身の4枚目となるアルバム『808s & Heartbreak』が3週間でレコーディングされる同アルバムの2曲目に『Welcome to Hearbreak』が収録されている
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まとめと感想
ザックリまとめると、『Welcome to Heartbreak』は「婚約者と破局したあとの心情を歌った曲」です。
ですがもう少し踏み込んでみると、心の支えだった母を亡くし、まだスターになる前の頃から共に人生を歩もうと約束した恋人との別れに打ちひしがれているKanye Westの姿がみえてきます。アルバム『808s & Heartbreak』では全12曲をとおして母と婚約者との別れについて歌われていますので、これを機に気になった方はぜひ聴いてみてください。
2008年以降も、Kanye Westの人生は混乱をきわめます。私がとくに興味深いと感じたのは、Kanyeと神(キリスト教)の関係です。こちらもめちゃくちゃ面白いのでお時間あるときぜひ。
それでは長くなりましたが、明日の最終日も、山下拓也 個展 「Manta ray」/ 前谷開 個展 「夜は昼、昼は夜を」お待ちしております!
| 展覧会 | 00:15 | comments(0) | - |
山下さんからカニエ・ウエストの歌詞について訊かれて
絶賛開催中の山下拓也・前谷開展も、いよいよ明日最終日です。アルコール消毒・換気をおこなって、21時まで皆さまのご来場をお待ちしております。配信トーク(アーカイブ視聴あり)もございますので、気にしてくださっている方はぜひチェックしてみてください。
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山下拓也 個展 「Manta ray」/ 前谷開 個展 「夜は昼、昼は夜を」
協力:一般社団法人HAPS
2020.09.18 [金] - 2020.10.04 [日]
12:00-21:00 月火休み 
入場料:¥400(お茶付き)
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展示をご覧になった方はご存知かと思いますが、会場では展覧会概要とともに、Kanye West(カニエ・ウェスト)の『Welcome to Heartbreak』という曲の歌詞解説を配布しています。
この記事では、解説を配布することになった経緯と、Kanye West の人生(誕生〜2008年)についてご紹介します。
山下さんの展示を読み解くヒントになるかどうかは分かりませんが、ご興味あればぜひお読みください。
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解説を配布することになった経緯
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本展がスタートする数週間前、山下さんからメールがありました。
Kanye West の『Welcome to Heartbreak』の歌詞について「自分でも色々意味を調べてみたけど、念のために英語が得意なOngoing スタッフにもう少し詳しくきいて内容を確認したい」とのことでした。(そのスタッフがこれを書いています。)
Kanye Westが2008年に発表したアルバム『808s & Heartbreak』に収録されている『Welcome to Heartbreak』という曲の歌詞は、一見するとありふれた失恋ソングのように捉えることができます。ただしサビの部分の歌詞が抽象的で読んだだけでははっきりと意味がとれなかったので、この曲が制作された当時のKanyeの人生について調べてみました。
生い立ち、デビュー、母の死、婚約者との別れ。そのあとに続く騒動とその裏側...。
調べれば調べるほど私はすっかりKanyeに夢中になってしまい、気づけば4-5ページの解説資料を山下さんに送りつけてしまっていました。
後日、山下さんから「あの解説資料とても分かりやすかったから、展示のときに配布してもいいですか?」と連絡がありました。山下さんに喜んでもらえてとても嬉しい!!と思いながら、4−5ページの資料内容を、配布しやすいようにA4サイズ1枚(両面印刷)にぎゅっとまとめたものを、現在Art Center Ongoingで配布しています。(そのため少々読みにくい構成になっているかもしれません。苦労して読んで下さった方ありがとうございます。)
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△任蓮▲ニエ・ウエストの人生(誕生〜2008年まで)についてご紹介します。
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| 展覧会 | 13:02 | comments(0) | - |
永畑智大 「こまわり大陸からの、かたどり記念日」明日はオンラインイベントです!

永畑智大
「こまわり大陸からの、かたどり記念日」
開催中。

明日6月6日(土)17:00からは、オンラインイベント!

ゲストに佐塚 真啓さん(絵描き)、和田昌宏さん(アーティスト)、山本篤さん(映像作家)、吉田藍子さん(美術家)、酒井貴史さん(アマビエ)、奥多摩美術館の面々をお迎えして

「オンゴーイング・スタジオ」2020/06/06『おくたま式箱庭療法 〜吉祥寺から遠く離れて〜』が開催されます。

きっとただのオンライントークにとどまらない何かが企てられているにちがいない…と想像が膨らんでしまうメンバー。おたのしみに!

https://www.youtube.com/channel/UC0j0haeaBVhEJxybms3YUrw
こちらのyoutubeチャンネルより配信されます。予めチャンネル登録をしていただくとスムーズにご試聴頂けるかと存じます。

また、視聴チケットの販売はなく、paypayもしくはnote (https://note.com/a_c_ongoing)からの投げ銭となっております。どうぞよろしく願いいたします。

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永畑智大
こまわり大陸からの、かたどり記念日
2020.06.03 [水] - 2020.06.14 [日]
12:00-21:00 定休:月、火 入場料:¥400(お菓子付き)
※イベントは全てオンラインで行います。以下から登録をお願いします。
https://www.youtube.com/channel/UC0j0haeaBVhEJxybms3YUrw
Art Center OngoingのnoteおよびPyaPayによる投げ銭制です。

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6月3日(水)19:00〜
「オンゴーイング・スタジオ」2020/06/03
『じゃぽにかの自粛警察24時 〜オレたち本気とかいてマジで本気出してないだけ?!〜』
ゲスト:じゃぽにか
*アーカイブ*https://youtu.be/lcGeikfFp0g
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6月6日(土)17:00〜
「オンゴーイング・スタジオ」2020/06/06
『おくたま式箱庭療法 〜吉祥寺から遠く離れて〜』
ゲスト:佐塚 真啓(絵描き)、和田昌宏(アーティスト)、山本篤(映像作家)、吉田藍子(美術家)、酒井貴史(アマビエ)

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6月13日(土)19:00〜
「オンゴーイング・スタジオ」2020/06/13
『彫刻から遠く離れて』出版記念トークイベント
ゲスト:青木野枝 袴田京太朗 冨井大裕 二藤建人

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6月14日(日)15:00〜
「オンゴーイング・スタジオ」2020/06/014
『Pre Ongoing School』
作家本人による展示作品の解説を交えてのレクチャーをインターネットで配信します。

| 展覧会 | 19:32 | comments(0) | - |
青木真莉子『かみの上のあした』開催中です

Current Exhibition

 

青木真莉子『かみの上のあした

■作品詳細:https://ongoing.stores.jp/

■展示の様子: https://youtu.be/q4zVL7HoNAM (映像)

 

Marico Aoki "Tomorrow's History"

■Artwork details: https://ongoing.stores.jp/

■Feeling of exhibition: https://youtu.be/q4zVL7HoNAM (video)

 

 

【おしらせ】

 

* Please scroll down for English.
Art Center Ongoingは、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、4月1日より当面の間、以下のような対応を行うことにしました。
1、作品展示以外の会場でのイベントは全て中止し、トークなどはネット配信で行う。
2、1階カフェの営業は中止。
3、https://ongoing.stores.jp/ での作品販売の開始。
Ongoingのような個人経営の小さなアートスペースでは、展示に伴うイベント収入、そしてカフェにおける飲食の収入がスペース維持のための生命線でした。ただ、現在の緊迫した状況を踏まえこうした対応を行うことを決めました。
またこの機会に、https://ongoing.stores.jp/ を新たに開設しました。Ongoingに集う作家たちのほとんどは、アルバイトをしながら制作を行っており、今回のことでそうした仕事も失いつつあります。会場に直接お越しいただけなくとも、ネットを通じて展示作家の作品のご購入をご検討していただければ幸いです。
一定期間スペースを閉めることも考えましたが、2008年のオープン以来、常に作家と共に歩んできたOngoingとしてできることを熟考した上での判断です。ご理解とご協力のほど何卒よろしくお願いいたします。
(Art Center Ongoing 代表/小川希)

 

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To prevent the spread of COVID-19, Art Center Ongoing has decided to take the following measures for the time being, starting April 1.
1. Cancelling all the on-site events. Talks and other events go on-line streaming. (Art exhibitions will be held as usual.)
2. Closing Ongoing Café (1F).
3. Started selling artworks online. https://ongoing.stores.jp/
For a small independent art space like Ongoing, the income from the events during the exhibition and the food and drinks at in café was the lifeline for maintaining the space. However, taking the current situation seriously, we have decided to close the café and make events on-line.
A new website is also created https://ongoing.stores.jp/ . Most artists around Ongoing survive everyday life working for their art jobs and side jobs, but under this circumstance they’re losing a large part of both jobs. We would be grateful if you will consider purchasing the works through the website, even when it is difficult for you to come to see the exhibition in person. The website is not entirely bilingual, but please inform us if you're interested in purchasing any artworks via email (info@ongoing.jp).
I also thought about closing the space for a while, but the decision was made after considering what we could do as Ongoing, which has always walked with the artists since its opening in 2008. Thank you very much for your understanding and cooperation.
(Art Center Ongoing Director / Nozomu Ogawa)

 

 

| 展覧会 | 13:23 | comments(0) | - |
青木真莉子『かみの上のあした』

青木真莉子個展
『かみの上のあした』開催中です。

 

2020.03.25 [水] - 2020.04.05 [日]
12:00-21:00 定休:月、火 入場料:¥400(セレクト・ティー付き)

 

繊細なタッチで描かれた、人や動物、妖怪のような生き物たち。
可愛らしくも不思議な世界をじっくりと眺めたくなります。

 

こちらはOngoing小川希による展覧会紹介です。
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青木の言っていることは、ほとんどわからない。日常的な会話についてではない。自身の作品に関して彼女が話す内容がだ。よくタラタラと全く面白くない作品のコンセプトを話す全く面白くない作家がいるけれど、それとは全然違う。事実、彼女の作品はめちゃくちゃ面白い。じーっと見てしまう。ただ、青木が自分の作品について語り出すと、今私たちが生きているこの世界のことを話しているようには到底思えないのだ。いうなれば学研のムーに載っていそうな解説に近い。
もちろん青木は、ただのオカルト野郎ではない。僕は彼女の感覚をかなり信頼している。なんだかんだ青木との付き合いも随分長くなったが、Ongoing以外でも、タイのチェンマイでのレジデンス企画や、石川県の奥能登で開催された国際芸術祭でのグループ展にも参加してもらった。そういった見知らぬ土地にいくと、僕はまず彼女に「なんか感じる?」とか「なんかいる?」とか聞いてみる。そうすると「黒いモサモサしたのが見えた」とか「結構たくさんいるね」とか、しれっと教えてくれるのだ。鬼太郎の妖怪アンテナのような能力。まあ大抵は「悪い感じではないから大丈夫」と安心させてくれるから、展覧会に集中できるのだが。
「この世界に存在する全てのものには魂があって、それらの魂は独自の時間や次元の概念を持っていて、それぞれが固有の世界を展開している」といったことを青木はよく話してくれる。アニミズム的な思考なのだろうけど、それが本人による作品解説の一部に入ってくると、聞いている皆は、ポカーンとしてしまう。でも作品それ自体が面白いから、まあいいかってなる。でもいざ青木の作品の面白さを、皆がわかるように伝えようとすると、的確な言葉を見つけるのが難しいことに気づく。ビビットな色彩感覚、空間を構成する素材選択のセンス、映像編集のオリジナルな間、などと青木の作品を語ろうとしても、どれも陳腐に聞こえてしまう。やはり私たちが生きているこの世界の言葉では、彼女の作品の面白さを描写することは困難なのだろうか。むずがゆい。
などと思いながら、今回の青木の個展を観てみた。今回はドローイング中心で、本人曰く「2011年から作品に登場してきたひと達の、明日の記録を描いた絵」なのだそう。明日の記録ってなんだよ、またよくわかんねーこと言ってるなー、と展示を見る前は思っていたのだが、作品を目にしたらビビッときてしまった。すっかり記憶から消し去っていた、青木の作り上げてきたインスタレーション、立体、映像作品を構成していた様々な要素が、その画面の中に生き生きと描かれていた。最近はこんな風に過ごしているんだとか、こんな場所に住んでいるんだとか、あいつとも知り合いだったんだねとか。そしたら急に、彼女がよく話してくれる、それぞれの魂の時間や固有の世界についてのあの言葉が思い出されて、あっ、そういうことだったのかと、妙に納得してしまったのだった。やっぱり青木の作品はめちゃくちゃ面白いし、ただ依然としてあいつの言葉はほとんどわからないけど、多分、いやきっと、あってはいるのだろう。
小川希(Art Center Ongoing)
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展示URL
http://www.ongoing.jp/ja/artcenter/gallery/index.php

 

※会期中は、イベントが多数開催されます。
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3月28日(土)19:00〜
オープニングパーティー
参加費:1000円(軽食+1drink+入場料)

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4月4日(土)19:00〜
トーク「作品を売ること・買うことについてOngoingで話してみる」
登壇:東野哲史(アーティスト)、衣川明子(画家)、吉崎ゆきえ(Art Center Ongoing)
料金:1000円 (1drink+入場料)

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4月5日(日)15:00〜
Pre Ongoing School
作家本人による展示作品の解説を交えてのレクチャー。
お好きなケーキとお飲物がついてきます。
料金:1500円 (ケーキとドリンク付き、先着30名様)

 

 

| 展覧会 | 17:27 | comments(0) | - |
齋藤春佳『立ったまま眠る/泳ぎながら喋る』展覧会テキスト
【齋藤春佳による展覧会テキスト】
水平線を見ることができる時、水平線にさわることはできない。
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絵画にさわることはできない。
今、Ongoingの建物には、さわれる。
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一階に展示されている絵画のうちいくつかはOngoingの机や柱や壁をスクリーンに焼き付けたように描かれていて、それをそういう風に見るためには、絵画に対して完全な正面に立たなければならない。
見る人の体を絵画が規定する。
逆に、見る人がOngoingで2020年の3月4日から3月22日までその絵画の正面に立って見る瞬間にだけ、その絵画はそういう風に現れる。
見る人の体によって存在させしめられる絵画。
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壁を模したキャンバスに描かれた水面。
泳ぎながら喋ると、聞いている方は何を喋っているのか分からない。
そこに絵の具で描かれたそれぞれの線を、「〇〇さんだ」「この時のこれだ」「あそこにあるあれだ」と規定するのは見る人で、見る人がいない瞬間はそれらはただの断片的な線でしかない。見る人が眼球の中でその像を結ぶ瞬間のみ現れる。
Ongoingにお馴染みの人が「〇〇さんだ」と思う描写を見て、ただ「人だ」と思う人もいる。いつか何もかもを忘れた後、私がこの絵を見る時もそうかもしれない。描写によっては、人が描かれていることにも気づかないかもしれなくて、同じように同じ絵を見ることができる瞬間は誰にとっても、二度とない。
絵の具が人に見える時、
絵の具が花に見える時、
あなたが今ここに、絵画と平行に、床とは垂直に、立っているという現在性を絵画が顕示する。
絵画とあなたが顕示しあう。
開かれた本のページ。
開かれていない本のページ。
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立ったまま眠るのはOngoingオーナー小川さんの酔っ払った時の特技で、誰の声も届かないその人は空間に垂直に現れている。
重力が働いているこの世界で眠る時、人は横になるものだと思っていた。
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そもそも時間が経つということについて、物や人や地球に重力が働き続けている運動エネルギーの総体の仕組みが現れている様子を世界で便宜的に時間が経つと呼ぶことに決めているだけで、つまり、手に持った器の地面に落ちる運動自体が時間と呼んでいるものの正体であると私は考えている。枝が落ちるとか、花がたおれるとか、人が死ぬとか、眠るとか、ものが置いてあるとか、地球が自転するとか、そういうことは、時間が経つから起こっているのではなくて、その運動が起こっていることの現れを時間が経つと呼ぶ認識に当てはめているだけだと、本当に、詭弁じゃなくて、思う。だから、落下した花を花器に活け直すように別の地面をつくる(*1)だとか、2次元としてしか捉えられない山の稜線の山中の出来事を3次元に起こしながら聞いた話を語る映像が壁に投影されていて、そこにさらに鑑賞者が立っている4次元空間にもある物体の影を落とすことで、3次元と認識されている場所に対して2次元として落とされる影という現象が起こって、鑑賞者のいる空間を壁に映写された映像に対する余剰次元として存在させる瞬間を作る(*2)だとか、つまり空間を視覚情報として操作することで人が既に認知できることを超えた部分での認知の変化を起こすことになり、というのも視覚情報も光が反射して眼球に到達した際の電気信号であるわけだからそれがその個体が持つ運動速度に何も及ぼさないはずがない、そして、それが、時間がただ流れて死んだらおしまい、という仕組みを本当に変えることになるということを本気で信じていて、それに支えられて、今まで作品を制作してきた。
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けれど、制作していて気分が盛り上がってくると、なんか心臓がバクバクしてきて、それが無視できない。[ 荒川修作 死因 ]でググってしまう。重力の中で心臓がバクバクしているんだけど、その時私は空間の中で相変わらず垂直になっている。それは観測者から現象として観測可能な運動性で、その観測者自体も、どんな次元に立っている観測者からも観測しきれない運動性を体の中に保っていて、そこで私が観測するのは現れている部分のみ、水面に顔を出した時の言葉だけで、表面しか無い。
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でも、
でもじゃないんだけど
でも、立ったまま眠る人がいる。
その人はこの時空間の中で異質な存在として現れる。
小川さんは普段は頭脳明晰だけれど立って眠るくらい酔っ払っている時に会話すると、頭脳明晰明瞭快活な様子で話した楽しい話も真面目な話も全部忘れる。全部が過ぎて消える世界の中でそれでも残るものが記憶で、それがたよりだと思っていた私はその容赦ない忘却が最初恐怖だったけれど、最近は、記憶できることだけがこの会話している時間を支えるのではないのだという実感がわく。きっと今話している内容を明日は私だけが覚えているんだろうなと思いながら会話する時、それがいやだとかさみしいというわけでもなくて、うまく言えないけれど、話しかけて、応えがあって、その応答のある対話がこちら側だけに残っていく感じが、水平線から投げかけられる夕日を見る時の感じというか、この現れていること自体全てを、たとえその輪郭的内容を覚えているからと言って残すことはできないだろうと思う。
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水平線に刻一刻と夕日が沈むのを見ている時、「絵に描ける?」と聞かれて「絶対描けない」と即答えた。
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水平線は見つめ返さない。
もしくは見つめ返す。私の与り知らない形で。
それぞれの体に立つ地面があって、その時、
それぞれの体の正面に水平線がある。
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小川さんは酔って私へ話した内容を覚えていない。内容は覚えていて私に話したことを忘れている時もあって、もう一度同じ話をされる瞬間、自分が透明になるのを感じる。対面する相手の目の先、自分の背後に水平線が現れる。しらふの私が小川さんに頼まれた仕事をすっかり忘れている時もある。
Ongoingで 1人で食べた柑橘。 パンを捏ねた手。 私以外誰もいない時のOngoingの姿。人がごった返す10周年パーティの姿。
私が見たOngoingにも色々な姿があって、私がバイトを始めたのが4年前だということを抜きにしても私が見ていないOngoingの姿は私が見た姿よりも多くあって、ここにある絵にそのすべてはほとんど描かれていない。描かれてあることよりも描かれていないことの方が多い。
それでかろうじて描かれている食べたものも触れたものも話した人も今は目の前になくて、もう二度と会えない人すらいて、でもそれを思い出すことはできて、描かれていると見ることだけはできる。 見ることで結ぶ関係がある。
そもそもOngoingで人と話している時、さわろうと思えばさわれるけれど、そんなに人にさわらない。さわったとして、それが関係を結ぶことになるわけでもない。まつげが指で押しのけられる形が見たくてまぶたを触っても(*3)、眼球にさわれないし、眼球をさわりたいんじゃないんだけど、そんな時その人は私のことが見えていない。それを見ること以外で結ぶ関係ということもできるかもしれないけれど、その時触った私はそれの様子が見たいだけだった。こちらから投げかける目。水平線としての他者。それぞれの持つ水平線。
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過去から今が見えなくても今から過去が見える(見えないけど思い出す形で頭に浮かぶ)ように未来から今は見えているだろう。でもどんな光も目に届いて認識して見えるということが起こった時にはもう過去の光で、水平線として見える光は距離のある分過去の光で、だから、お互いの水平線が重なる時もひょっとしたらあるかもしれないけれど、それが判明する瞬間を持ち寄って同時だと証明するには、私のようにあなたは見ないし、あなたのように私は見ることができなくて、それでいて自分の水平線にさわることができる人はこの地面の上では、いない、ということを持ち寄らなくてはならない。私にとって線にしか見えない地平線はそこにいる誰かにとっては地面で、その時私の今立つ地面はその誰かにとって線にしか見えない、地平線である。

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でも、水平線が見える時、波打ち際で水をさわって、ここにある水と同じ水がずっと向こうまであるんだな、と思った。
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*1「たおれた花器の水面下ではもう一度同じ花が水を吸い上げている」2013 /実家JIKKA/同名展覧会にて発表
*2「影の形が山」2017 /埼玉県立近代美術館/"飲めないジュースが現実ではないのだとしたら、私たちはこの形でこの世界にいないだろう"にて発表
*3 小川さんのまぶたじゃありません
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齋藤春佳『立ったまま眠る/泳ぎながら喋る』
2020.03.04 (水)- 2020.03.22(日)
12:00-21:00 定休:月、火 
入場料:¥400(セレクト・ティー付き)
Haruka Saito "Sleeping While Standing/ Speaking While Swimming"
2020.03.04 (wed) - 2020.03.22 (sun)
12:00-21:00 Closed on Mondays and Tuesdays 
Admisson: 400yen (with tea)
「立ったまま眠る」(2020)部分
「立ったまま眠る」(2020)Ongoing Cafe 1階 展示風景
| 展覧会 | 21:52 | comments(0) | - |
【誠実な暖房とあたたかい時計 「鉄」】

山本篤「祈りのフォーム」今週末までの開催です。21時までご覧いただけますのでぜひお越しくださいませ。
以下、今週土日のイベントに先立って開催された【誠実な暖房とあたたかい時計 「鉄」】 へ参加したスタッフによる本展紹介(? お薦めの弁?)です。
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自己紹介を促されて始まる和やかな会話。温かな食事。メニューの紹介(蓮の茎サラダ風蓮根サラダ、緑豆のおこわ、あさりのレモングラス蒸し、生春巻き)。石油ストーブによる暖かい空気。ハワイ的空間演出。エルビスプレスリーの「ブルーハワイ」LP。完璧な団欒。
そんな中、山本さん本人が、シェイクしたブルーハワイを参加者の目の前のグラスに注ぐ。
涼しげな青、トロピカルな味わい、一口飲む毎に体感温度が下がっていく。
1月11日に行われた 【誠実な暖房とあたたかい時計 「鉄」】 における経験すべてはここに記すことができませんが、概ねこのような形のイベントです。
ただし、【 誠実な暖房とあたたかい時計 「兆」】 及び 【 誠実な暖房とあたたかい時計 「札」】ではおそらく同じことは繰り返されません。確実に言えるのは、どなたさまにもご参加していただけるということと、暖かいカフェで美味しい食事をご用意してお待ちしているということです。1月18日(土)と1月19日(日)それぞれ20時から、ぜひお気軽にご参加下さい。
 

どうしてハワイなんですか?とお聞きすると、山本さんは
「どうしてなんですかね?!」と前置きしたあと
「他の作品群が寒々しいから…」と、あまり重要ではない事項のように仰ったので、なんとなく笑って流してしまったけど、別日にも、二階の作品の寒々しさに対しての暖かいハワイであるとの理由を話していて、あ、そう言えばそう言っていたな、と思った。
 

寒いから暖かくしたい、暑いから涼しくしたい。そうして人間は快適な状態を保つ。
極点に達した瞬間から他方へ向かわざるをえない時計の振り子のように、快適な状態を求める。
 

寒さの中のハワイ。ハワイの中のブルーハワイ。
 

生きている時間の中の…祈り?
 

暖かさの中に現れる冷たさ。それを、社会的生活者としての山本さんのもたらす逸脱と重なると言ってしまったら、単純化しすぎだけれど、
「今回の山本作品を温度で読み解くことができるのではないかしら」と、今朝通勤中自転車に乗りながらふと思って、だけど、書き始めたら全然見当違いな気もしてきました。ただ、そうして全然仕事中じゃない時にも、ふと考えてしまう、頭の中にこびりついて離れない展覧会です。ぜひお見逃しのないようお越しくださいませ。
(Art Center Ongoing スタッフ齋藤)
 


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山本 篤 『祈りのフォーム』
2020.01.04 [土] - 2020.01.19 [日]
12:00-21:00 定休:月、火 入場料:¥400(セレクト・ティー付き)
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1月4日(土)19:00〜
新年会という名のオープニング・パーティー
参加費:1000円(軽食+1drink+入場料)

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1月11日(土)20:00〜
誠実な暖房とあたたかい時計 「鉄」
1月18日(土)20:00〜
誠実な暖房とあたたかい時計 「兆」
1月19日(日)20:00〜
誠実な暖房とあたたかい時計 「札」

展示作家が提案する「寒い夜の、ある親密な時間」。
何が行われるかは参加してのお楽しみです。
是非ご参加ください。
各回参加費:1000円(軽食+1drink+入場料)

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1月日12(日)15:00〜
Pre Ongoing School
作家本人による展示作品の解説を交えてのレクチャー。
お好きなケーキとお飲物がついてきます。
料金:1500円 (ケーキとドリンク付き、先着30名様)

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Atsushi Yamamoto "Forms of Prayer"
2020.01.04 - 2020.01.19
□admission
¥400(with tea)
□opening hours
12:00-21:00
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4th January (sat) 19:00〜
New Year's Party & Opening Reception
admission:¥1000(with food and one drink)

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11th January (sat) 20:00〜
Sincere heating and warm clock 1 [iron]
18th January (sat) 20:00〜
Sincere heating and warm clock 2 [trillion]
19th January (sun) 20:00〜
Sincere heating and warm clock 3 [gratitude]
admission:¥1000(with food and one drink)

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12th January (sun) 15:00〜
Pre-Ongoing School
The artist will give a talk about the exhibition and past projects.
admission:¥1500 (with cake and one drink)

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