CALENDAR
S M T W T F S
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
<< February 2020 >>
ARCHIVES
CATEGORIES
<< Ongoingの文化の日 | main | 和田昌宏 "RECORRIDO ARQUEOLOGICO #1" >>
飯川さんインタビュー (Decoratorcrabのはなし)
Ongoing AIR 第2弾は、神戸在住飯川雄大さん。
『outdoor』展のメインであるDecoratorcrab(デコレータークラブ)について、お話を伺いました。




面白いものを見つけたとき、それをどうやって人に伝えるか


飯川
 最近、みんなオモロイもの見つけると、すぐに写真撮って、TwitterやらFacebookにアップロードするでしょ?僕、あれ好きじゃないんですよ。

― へえ、それはなんでですか? 

飯川 写真のなかには情報が多すぎて、逆に本当に伝えたいことが伝わってないんじゃないかと感じちゃうんです。

― 本当に伝えたいこと?

飯川 そう。たとえば、新幹線のトイレに入ったら、ピンク色の犬がいたとするでしょ?

ー はい。笑


画像をクリックすると、飯川さんのデコレータークラブ解説のための
プレゼンスライドをすべてご覧いただけます。



飯川 たぶん、僕はピンクの犬を見て「わー!すごい!初めて見た!すてき!」と思う、と思う。そして、もしそれを写真に撮ってfacebookで公開したとしたら、きっとたくさんの「いいね!」を押してもらえると思う。

― 私も「いいね!」押すと思います。

飯川 それはそれで嬉しいんです。でも、そういうときに僕がみんなと共有したかったことって、ピンクの犬のビジュアルそのものじゃないんです。

― え、ちがうんですか?

飯川 ピンクの犬そのものじゃなくて、それを見たときの僕のドキドキ感っていうか、ぐわっと目が引きつけられて、心が動かされた感覚を共有したいんです。僕は、その心が動くことを「衝動」と呼んでいるんですが。

ー 「衝動」?(ネット辞書を引いてみる。)ほんとだ、「衝動」という言葉の意味のなかに、「心を強く突き動かされることって書いてありますね。

飯川
 そうなんです。その「衝動」をつくるためには、情報は多すぎない方が良いんです。情報をある程度こちらでコントロールしなくちゃいけない。



― なるほど、それでピンクの犬の写真を直接見せるのは、情報が多すぎると。

飯川 だって、ピンクの犬を見つけて感動する経験を共有したいのに、ピンクの犬を先に見せちゃったら、映画の結末だけ言っちゃうようなものじゃないですか?あるいは、オチだけを伝えちゃってるみたいな? そうなると、その映画を観る前から「もういいや」ってなっちゃう。

― ああ、ちょっと分かります。私、旅行をするときにガイドブックを開いて、写真を見てしまうのが嫌なんです。実際に自分の目でその風景を見て感動したいのに、ガイドブックにきれいな写真が載っている。そうすると、自分がわざわざその場所を旅行しても、確認作業をしている気分になるんです。だから、できればガイドブックは、その場所への行き方だけを書いてほしいと思ってしまいます。

飯川 僕もそうです!そして、Decoratorcrabの作品にある写真は、その場所を示す道しるべというか、地図のようなものだと考えてください。


そこへ辿り着くための道しるべとしての作品

― 『Decoratorcrab』シリーズでは、草木や壁が写ってる写真が展示されていますよね?

飯川 そうです。あの木とか草は、僕が心を動かされたものの周りにあった、言わば目撃者のようなものです。これらがある場所に行けば、僕が見た素敵なもの(さっきの例で言うピンクの犬)と遭遇できるんです。



― わー、見つけるの難しそう!あんまり辿り着ける人はいないんじゃないですか?

飯川 そうですね。とても少ないと思います。おそらく1,2人…、あるいは極端なことを言えば0人でも良いんです。最近のアートやデザインは、なるべく多くの人と共有できるように誰にも分かりやすい形で、万人にひらかれすぎているものが多いように感じるんです。
いつか僕の作品を観た人が、提示されたイメージの断片のある場所に辿り着いたとき、なんともいえない不思議な感覚に襲われるかもしれない。でも僕は、それをなるべく多くの人に求めたいとは考えていないんです。

名前の"Decoratorcrab"ってなに?

― すごい。そう言われるとますます見たくなります。
ところで、作品シリーズ名のDecoratorcrabという名前は、ふしぎな名前ですね。

飯川 デコレーションをするクラブじゃないですよ。笑 敵から身を守るためのカムフラージュをするために、ゴミや藻屑で自分の身を着飾る蟹(crab)がいるんですよ。もともとは、クモみたいな手足の長い地味な蟹なんですけどね。それがデコレータークラブという名前なんです。(注*日本語名は、モクズセオイ。藻屑を背負ってカムフラージュすることから。)


左:カムフラージュしたデコレータークラブ
右:カムフラージュしていないとき

*画像クリックをすると、もっと詳しい解説スライドをご覧いただけます。



― へえ、知らなかったです。

飯川 僕もテレビで知ったんですが、プロのダイバーでも、デコレータークラブを見つけるのは難しいらしいですよ。だから、見つけられるとすごく感動するらしいんです。
それまで何もないと思っていた風景の中に、ふと蟹の姿を認識してしまう。すると、その不自然さに目が離せなくなってしまうらしいんです。見つける前の風景に戻れないというか。
そのデコレータークラブと対峙するダイバーの距離感というか、関係性って、面白いなぁと感じたことから、この作品の着想を得たんです。だから、名前もDecoratorcrabにしました。

― なるほど。こうやってデコレータークラブの写真を見るだけだと、「へー!こんな蟹がいるんだー。すごーい」と思うにとどまりますが、実際に海の中でひとりでデコレータークラブを見つけたときの感動とはまったくちがいそうですね。

飯川 そうなんです。

― 飯川さんは、自分の作品のデコレータークラブ(面白いと思ったモノ、光景。つまりピンクの犬)の詳しい場所をお客さんにこっそり教えたりはしないんですか?

飯川 絶対に教えないですね。僕は、予定調和なことがきらいなんですよ。「あそこに行ったら、あれがあるよ」と言われて見つけたとしても、そんなの全然おもしろくもなんともないじゃないですか。

ー 今回の『outdoor』展のデコレータークラブは、吉祥寺のどこかの風景をピックアップしているそうですね。ぜったい見つけたいです。ぜったい見つけるぞー!宝探しみたいな気分。

飯川
 ありがとう。でも見つけられるかなぁ。笑 
今回のOngoingの展示はメチャメチャ楽しいです。自分的には、今までやったことなかったことにもチャレンジしてるし。

― ふふふ。そうやって言ってもらえてうれしいです。
楽しいおはなしありがとうございました!

(2013年7月24日 Ongoing Cafeにて / 聞き手:弘川ゆきえ )


飯川さんのホームページ こちら


飯川雄大『outdoor』展、今後の予定
7月24日(水)〜8月4日(日) 
HP

■■■
8月2日 (金) 20:00〜
『オンゴーイングの文化の日』
『快盗ルビイ』でもみながら
ホスト:飯川雄大
要ワンドリンクオーダー(おまけ:半田素麺)


■■■
8月3日 (土) 19:00〜
ゲストトーク
ゲスト:和田誠(イラストレーター)
料金:1000円 (ワンドリンク+素麺一種類+入場料、先着30名様、要予約)

※ご予約は、info@ongoing.jpもしくは、0422-26-8454まで。
ご氏名、ご連絡先および、『8月3日(土)和田誠ゲストトーク』に参加希望の旨をお伝えください。
電話受付は、月曜と火曜をのぞく12:00〜21:00まで。受け付け完了は、メールにてお知らせいたします。


■■■
8月4日 (日) 15:00〜
Pre Ongoing School
作家本人による展示作品の解説を交えてのレクチャー
お好きなケーキとお飲物がついてきます
料金:1500円 (ケーキとドリンク付き、先着30名様)



| Ongoing AIR | 01:00 | comments(0) | trackbacks(0) |
コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
トラックバック機能は終了しました。
トラックバック