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二コラ、インタビュー!!
Ongoin AIR 第3弾!

パリ出身の映像作家、Nicolas Carrier(ニコラ・カリエ)は、記念すべきAIR初めての海外アーティスト!現在開催中の『Memories of Light at Dusk』をもっと楽しむためにも、作品についてあれこれ聞いちゃいました


photo by Takehiro Iikawa

現実と虚構のはざまで「時間・光・フィクション」について考える

―まずはドイツでの受賞おめでとうございます!

Nicolas ありがとうございます。初めての受賞なのでとても嬉しいです。日曜日にドイツで授賞式がありましたが、さすがに会場に飛んでいくことはできないので、スカイプで出席しました。

―スカイプで!?すごいですね。
さて、それでは受賞ほやほやの二コラいろいろ伺っていきたいと思います。
作品について簡単に教えてもらえますか?

Nicolas 僕の作品は、シチュエーションと出演者のうえに成り立っています。
つねに出演者の皆さんに愉しいひとときを過ごしてもらえるようなシチュエーションを創ることを心がけながら、そこから浮かび上がる自然体とパフォーマンスの狭間にある瞬間をフィルムにおさめようと制作しています。そういった瞬間をとらえることで、僕の作品は、単なる記録ではなく、「時間・光・フィクション」を問う映像作品になると考えています。

―「時間・光・フィクション」という3つのキーワードが出てきましたが、それぞれの要素がどのように作品と関わっているか聞かせてもらえますか?

「時間」のこと ― 愉しい時間で、人々の日常を少しずらす

Nicolas 人々がどのように時間をつかうか・・・これは、僕がずっと気になっているテーマです。毎日、走り回るように忙しく過ごしている人って多いですよね。いつもスケジュールに追われていて、つねに片づけるべき仕事がある。空き時間ができても、わざわざ用事をつくる。そういうふうに忙しくして、たくさんの物をもつということこそが、幸せである証拠だと感じている人が多いように感じるんです。そして、僕はそういう現代の空気にとても違和感がある。

―たしかに、忙しい人は多いですよね。てっきり東京特有の雰囲気感かと思い込んでいましたが、パリでもそうなんですか? パリでは時間の流れがゆったりしているイメージがあります。

Nicolas うーん。東京とあんまり変わりませんよ。もちろん人によりますが、いつも何かに急かされるようにして忙しくしている人は、パリにもたくさんいます。僕はそういうのが苦手で、どちらかと言うと、退屈な時間のほうが好きなんです。

―退屈が好きなんですか?

Nicolas 退屈が好きという言い方では誤解を招いてしまったかもしれませんね。なんていうか、特に何もしていない時間が好きなんです。ただ、うろうろ歩いてみるとか、物思いにふけるとか・・・そういう時間が好きなんです。もちろん、僕も撮影や編集で忙しくするときはありますが、あえて何もしない時間をつくることを大切にしています。

―あえて何もしない時間をつくる・・・したいと思っても、なかなかできないんですよね。休みの日を何もしないで過ごしてしまうと、ものすごく損をした気分になってしまう人は多いと思います。だから、なるべく予定を入れたり、雑誌やテレビで流行をチェックして買い物に出かけたりしちゃうんですよね。その結果、リラックスするつもりが、別の忙しさに自分を押し込んでしまっているように感じることは、よくあります。

Nicolas そうそう、そうなんですよね。僕が特に興味があるのは、人が仕事以外の時間をどういうふうに過ごすかということなんです。

― 今回の作品では、どのように「時間」にアプローチしていますか?

Nicolas さっき出演者が撮影をとおして愉しい時間を過ごすことが大切だと話しましたよね? あれはつまり、僕の作品に参加することで、今まで経験したことのないような時間を経験してほしいということなんです。ふつうは、ああいう意味を為さない時間を過ごすことってあまりないですから。
また、今回の撮影の場合では、出演者に、日本の文化的マナーからは少し外れているであるだろう「あること」をしてもらいました。それは、ヨーロッパではふつうの行為なので、出演者の皆さんの日常・ルールを少しだけヨーロッパ側へずらしたとも言えるかもしれません。

「光」のこと ― 何を照らすためのライトなんだろう?

― 「光」にも興味があると仰っていましたが、作品との関連性について教えてもらえますか?

Nicolas 僕のほとんどの作品は、目に見えるものと見えないものの境界を探ることをテーマにしています。今回の展示では、光を写した写真をつかったインスタレーション作品を2点発表しました。そのうちスライドショー形式の方は、僕が日本で発見してとても面白いと思った習慣からインスピレーションを得てできた作品です。

―いいですね。どういう習慣ですか?

Nicolas 日本の友人の家にしばらくステイさせてもらった時のことです。その家では、いつも夜遅くまで玄関外のポーチのライトを点けておく習慣があるということに気が付きました。僕も友人もみんな家の中にいて、他に誰かが訪ねてくる予定もなかったのにも関わらず、ただ玄関外のライトは点けてあったんです。そして灯りを消すのは、いつも寝る前でした。
あの玄関灯はただ外を照らしているだけでした。自分たちのためでも、お客さんのためでもなく、外を歩いている人たちのために灯りを点けておく習慣のように思えて、とても興味深かったです。

―日本ではそういう家が多いかもしれません。いま指摘されるまで深く考えたことはありませんでしたが、たしかに面白いですね。

「フィクション」のこと ― 自然体とパフォーマンスのはざまで 

―では、「フィクション」は作品とどういう関係がありますか?

Nicolas フィクションの要素は、作品のいたるところに散りばめられています。

―そうかもしれません。いろんなレイヤーのフィクションがありますよね。
―ところで、今回、Ongoingで展示するにあたって新しく挑戦したことがあるって、前に話してくれましたよね?

Nicolas はい。今回は出発点を少し変えてみました。いつもシチュエーションを設定するときに、まず場所ありきで考えるのですが、新作"Wolves and Dogs"では、あることを覚えておくための儀式をやろうというアイディアありきで考えました。

―あることを覚えておく儀式というアイディア? それは、どこから生まれたものなんですか?

Nicolas 日本に来るまえ、溝口健二監督の「武蔵野夫人」を観たんです。「武蔵野夫人」とは、武蔵野が市として東京の一部になった直後、1951年に制作された映画です。
鑑賞をきっかけに、武蔵野はこの60年間でどのように変化してきたのだろう、と思うようになりました。映画からは、たくさんの空き地と大きな林があるだけのガランとした当時の武蔵野のようすが伺えました。しかし、今回のレジデンスで、実際に吉祥寺に来てみたら、大きなショッピング施設や多くの家が建ち並び、にぎやかな街となっていました。ただ、昔のような空き地や森林はなくなってしまい、今では公園がいくつかあるだけです。そこで、今回の作品では、60年前から変わらずに残っている武蔵野の風景を覚えておくための儀式のようなものを行おうと決めました。
そして、井の頭公園でイメージ通りの雑木林を見つけ、撮影を行いました。

―やっぱり井の頭公園だったんですね!それにしても、あれは「儀式のようなもの」なんですね。

Nicolas そう、それもさっき言ってた「フィクション」の一例ですよね。儀式のように見えて、儀式ではないもの。
また、出演者には60年前の武蔵野を思い出しながら撮影に挑んでほしいとお願いしましたが、そもそも若い彼らが60年前の武蔵野を見たことがあるはずがないですよね。見たこともない光景を思い出せ、なんてナンセンスな注文ですが、あえてお願いしました。だから出演者は、カメラの前で愉しく自由に過ごしているけれど、完全な自然体とは言えない。けれど、僕から特に細かい演技指導をしているわけでもないので、完全にパフォーマンス的というわけでもない。これも、1つの「フィクション」の例ですね。
僕が映像で表現しようとしているのは、出演者の自然体の表情でも、パフォーマンス的な何かでもありません。リアリティとフィクションのはざまに存在する瞬間を捉えることで、フィクションについて考えようとしているのです。

―なるほど。「時間・光・フィクション」それぞれに関して、二コラが気になっていることが作品にふくまれているんですね!これでさらに、『Memories of Light at Dusk』展が楽しめるような気がします!いろいろお話ありがとうございました。

(聞き手:弘川ゆきえ /  2013年10月17日 Art Center Ongoingにて)

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  2013.10.16 [水] - 2013.10.27 [日]

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10月19日 (土) 19:00〜
オープニングパーティ
参加費:1000円(軽食+ワンドリンク付き、入場料込み)



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10月25日 (金) 20:00〜
『オンゴーイングの文化の日』
ホスト:鷺山啓輔
http://sagiyama.com/

(以下、鷺山さんのホームページ
http://sagiyama.com/から抜粋)
台風の進路が、日々変わる中、天気に左右される毎日を意外と楽しもうとしていたりします。なかなか天気のよめない週ですが、今週10月25日 (金) 20:00から、Art Center Ongoingで、「Ongoingの文化の日」というイベントのホストをさせてもらう事になりました。現在展示中のレジデンス作家のパリジェン、ニコラ にちょっとあわせて、フランスの洞窟のドキュメンタリーをメインに、癒しじゃないネイチャードキュメンタリーの魅力、鍾乳洞の魅力を紹介出来ればと思いま す。あいにくの天気となりそうな予感がビンビンしますが、ぜひ足をお運びください。雨の中、しっとり、ゆるやかに歓談出来ることを願います。

要ワンドリンクオーダー



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10月27日 (日) 19:00〜
ニコラのOngoing AIR 滞在報告会

Ongoing AIR(オンゴーイング・アーティスト・イン・レジデンス)第三弾、
パリからやってきた映像作家、ニコラス・カリエの滞在は、この10月で終了します。
ニコラが見た日本、東京、そしてオンゴーイングはどんなものだったのか。
展示最終日となるこの日、お別れパーティーをかねた報告会を開催します。
ぜひ皆様、お気軽にご参加ください。

参加費:無料
| Ongoing AIR | 23:37 | comments(0) | trackbacks(0) |
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