CALENDAR
S M T W T F S
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031    
<< March 2020 >>
ARCHIVES
CATEGORIES
<< 残すところ、あと3日!! | main | 展示もあしたで最後ですよー >>
吉濱さん、インタビュー!
Ongoing AIR 5人目は、沖縄出身の吉濱翔さん。
吉濱さんが一体どういう人なのか知りたくて、制作や活動についてあれこれきいてみました!

 

ライブハウスでの衝撃的な出会い

―吉濱さんと言えば、サウンドインスタレーションや即興音楽のパフォーマンス、ワークショップなど、音楽のイメージが強いです。那覇でも、定期的に即興音楽ライブを主催したりしていたそうですね。どういうきっかけで、音楽に関わりをもつようになったんですか?
 
吉濱  もともと、沖縄で唯一の美大で絵画を専攻していたんですが、実を言うと大学で教わる内容にあまり興味がもてなかったんです。当時、沖縄には現代アートの美術館やギャラリーみたいなものがなかったので、雑誌やテレビを頼りに情報を仕入れていました。でも、大学で先生が教えてくれる従来の表現方法と、自分がそれまでにイメージしていたアートがうまく結びつかなくて、少し悶々とした日々が続いていました。
そんなある日、沖縄のライブハウスで、海外から来た音響派のデュオのライブを観る機会があったんです。当時の僕には、ものすごい衝撃でした。それまで持っていた音楽の概念みたいなのがふっとんで、なんて自由なんだろうと思ったんです。大学で勉強していたことよりも、ずっと僕がイメージしていたアートに近かった。それで、もっとそういう人たちを沖縄に呼びたくて、毎月、自分が面白いと思うミュージシャンに来てもらって、即興音楽などのイベントを主催するようになったのがきっかけです。
 
―わー、それは良い出会いでしたね。なるほど、だから先日のウェルカムパーティー(*)に、沖縄以外の音楽関係のお友達もいらしてたんですね。ライブのときは、吉濱さんご自身も出演するんですか?

*2014年1月18日に行われた吉濱さんウェルカムパーティー。過去の作品や制作についてプレゼンテーションもしてもらいました。
 
吉濱 ええ、もちろんしますよ。トランペットを演奏します。あ、でも最近は、パソコンでの参加も多いですね。


アートかどうかよりも、大切なこと
 
―パソコン!2月21日(金)のOngoingでのライブが楽しみです。では、アーティストとして活動するときに心がけていることみたいなのってありますか? あ、アーティストっていう言葉はあまり使いたくないんでしたっけ?
 
吉濱 あ、先日のプレゼンテーションでそんなことも話したかな。(笑) どうしても肩書をと言われたら、「演奏する人」って答えたりしますけどね。
アーティストという言葉には、西洋のアートの文脈や、それをもとに創り上げられた東京のアートシーンの流れしか含まれていない気がして、それらを踏まえて制作をしていないぼくが「アーティスト」を名乗るのには抵抗があるんです。
東京がきらいとかではなくて、ものごとが1つのやり方やルールに従っている感じがして嫌なんです。日本でアートをやろうとしたら、どうしても東京が中心になってしまう傾向があるけれど、東京以外の土地には、その土地なりのやり方とか良いところがある。それをちゃんと認めて取り込んでいかなきゃ。
 
―わたしも、地元と大学が地方なので、その感覚なんとなく分かります。東京うまれの人たちは、別に「東京が一番だ!」という意識で暮らしているわけじゃないのは、東京に住んでから分かりましたが、それでもやはり日本全体が東京スタンダードに合わせようとしている感じは否めないですよね。
「アート」という言葉がたくさん出たので、みんなが嫌がるお約束の質問をしてしまいますが、吉濱さんは「アート」って何だと思います?
 
吉濱 うーん、とてもぶっちゃけて言えば、アートなんてなんでも良いと思っています。

― おお。けっこう即答ですね。


吉濱 「アートであるために、こうあるべき」というのにはあまり興味がないんです。自分がつくりたいものをつくって、結果的に、アートになったという方が、しっくりきます。むしろ制作よりも、こういう時間のほうが大事でしょ?
 
―こういう時間??
 
吉濱 こういうふうにきちんと向かい合って話をしたり、お互いのことを知ろうとしたりする時間。あるいは、恋人や友人、大切な人と過ごす時間。「ぼくは、美味しいものと女の子が好き、でも原発はきらい。君は?」みたいな。
人がその人らしく生きることがいちばん大切で、結果的に「アート」や「音楽」と呼ばれるものが出来上がったというだけのことだと思いますよ。成果物の名称というか。だから、ほんとうは「アート」という形態には特にこだわっていないんです。
ぼくは、人とアートを共有することは無理だけど、人の生き方は共有できると考えているんです。


 びおんおーけすとらプロジェクト:日常にあるさまざまなものを使ってオーケストラを奏でる集団演奏を行う吉濱さんのプロジェクト。(くわしくは、画像をクリックしてください。)


自分の意思がおよばないからこそ、面白い

― 人がその人らしく生きることがいちばん大切・・・って、なんてまっすぐな言葉。はっきりと面と向かって言われると、ドキリとしますね。いまの世の中、それが難しくなってきているのも確かだと思います。
では、吉濱さんが実際にワークショップや制作をする時に大切にしていることはありますか?
 
吉濱 作品をとおしてコミュニケーションをとることは大切にしています。つくるプロセスや発表の場で、コミュニケーションのツールとして機能すればいい。「いまのアートシーンの流れ的にこうすべき」みたいなことは、あまり考えたことがないです。いま自分のできることを全力でやって、その結果、いろんな人とお話ができたり、理解が深められれば、そんな幸せなことはないです。
 
― 完璧にコミュニケーションツールなんですね。
一般の方々にワークショップに参加してもらって映像作品をつくることが多いと思いますが、撮った映像が「これは成功だったな」とか「失敗だったな」ということはないんですか?
 
吉濱 うーん、ないですね。そもそも、映像を撮るときに「こういう画を撮りたい」というイメージや、「この映像によってこれを伝えたい」というメッセージを決めないんです。なにも意図せずに参加者のやりたいようにやってもらうだけだから、成功も失敗もないです。
自分の作品に、自分の意思が反映されすぎていると、面白くないと感じちゃうんです。自分のことは、もうすでによく分かっていますから。それよりも、いま目の前にいる人のことを知りたい。全然わからないから、そっちの方がずっと面白い。
作品の撮影も展示の搬入も、他の人にお願いすることが多いですね。自分のこだわりを取り払って他の人に任せちゃったほうが、ぼくにとっては面白いんです。




即興音楽から学んだこと

―へえ。徹底してますね。作品に偶然性を取り込みたいという作家さんは多いですが、撮影、搬入さえも、自分以外の人にお願いしたいという作家さんってなかなかいない気がします。そういうふうに、他人の意思が含まれていたほうが面白いというのは、昔から感じていたことなんですか?
 
吉濱 いや、大学に入ってからですね。即興音楽を好きになって、自分も演奏に参加するようになったことが大きく関係しているのかもしれません。
即興演奏というのは、プレイヤー同士のコミュニケーションを見せる場だと考えています。ぼくが即興演奏をするときは、他のプレイヤーと事前に打ち合わせはしません。どんな大御所ミュージシャンが相手でも、打ち合わせゼロで挑みます。演奏が始まって、はじめてプレイヤー同士のコミュニケーションが始まる。相手の音を注意ぶかく聴いて、その音に反応してもいいし、あるいは無視してもいい。まったくの自由ですが、コミュニケーションであることを忘れてはいけない。
それで上手くいくこともいかないこともあるけど、またそれがいいんです。キレイも汚いも共存している未知の状況にわくわくします。逆に、ジャムセッションとか打ち合わせ済みのアドリブ風の演奏とかはとてもキレイなので、少しものたりなく感じてしまうこともあるほどです。


― へぇーー!!なんかすごい。おもしろそう!!そういう視点で、即興パフォーマンスを見たことなかったです。 プレイヤー本人はドキドキですね。
即興演奏でも、「今回はあまり良くなかったな」というときもあるんですか?
 
吉濱 もちろんありますよ。お互いに本気を出していなかったり、中途半端なのが透けて見えてしまうとだめですね。あと、一方が前に出すぎてしまっていて、コミュニケーションが希薄な演奏も、「あちゃー」と思います。

 
そして、作品テーマのこと
 
―ああ、それは「あちゃー」ですね。では、もう少し吉濱さんの作品制作の話も伺いたいと思います。さっき、「メッセージは特にない」ということを仰ってましたが、作品をつくるうえで、吉濱さんの中でテーマは設定しているんですよね。
 
吉濱 ええ、あります。作品をつくることは、ぼくにとって実験でもあります。そのときに気になっていることを掘り下げて考えたり、他の人とみんなでやってみたときに何が見えるかを知りたい。近年の作品は「回帰」ということが気になって制作したものがいくつかあります。先日のオンゴーイングでのプレゼンテーションの時や、実際に展示に来てくれた人に直接聞かれればテーマのお話はしますが、あまり記録に残る形では発表しないことにしています。
 
− うー、プレゼンのときに作品テーマのお話をきいて、「面白いなぁ、吉濱さん」と思ったのに、インタビューに載せちゃいけないんですね。そっか・・・残念。でも、興味がわいた方が吉濱さんに直接聞けば、そこからコミュニケーションが始まりますもんね。ツールとして機能させるためには、むしろその方がいいのかもしれません。
『びおんおーけすとら』などのワークショップ参加者には、撮影前に吉濱さんのテーマというかコンセプトは伝えているんですか?
 
吉濱 いえ、実はまったく伝えてないんです。今までのぼくのワークショップ全部に参加してくれている友人が、先日のプレゼンを聞きにきてくれたんですが、「そんなことを考えていたなんて、まったく知らなかった」と驚かれましたよ(笑) 『びおんおーけすとら』では、「ここで、みんな好きなように音だしてみましょう」とお願いして、皆さんに思い思いのことをやってもらっています。 いいんですよ、僕の意図を押し付けてなにかを感じてほしいとか、なにかを持って帰って欲しいとかじゃないんですから。大切なのは、みんなでそこに行って一緒に時間を過ごしたということなんです。

 
20014年2月19日 Art Center Ongoing にてー 聞き手:弘川ゆきえ


- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

 
 
| Ongoing AIR | 12:19 | comments(0) | trackbacks(0) |
コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
トラックバック機能は終了しました。
トラックバック