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『君が望むなら』−長谷川維雄さんのはなし
2014.02.26 [水] - 2014.03.09 [日]
12:00-21:00 定休:月、火 入場料:¥400(セレクト・ティー付き)

先日行われたpre ongoing schoolで伺ったお話をもとに、現在展示中の長谷川維雄さんの作品のなかから、特に印象の強かった2作品についてご紹介いたします。

1『鼻炎ナショナリズム』

そろそろ、花粉がとんで鼻がぐずつきはじめる季節。毎年、花粉症に悩まされている方も多いのではないでしょうか。でも、日本の花粉症には、戦争と深い関係 があったことをご存じだったでしょうか。わたしはまったく知らなかったのですが、長谷川さんがプレオンゴーイングスクールで教えてくれました。

「映像作品『鼻炎ナショナリズム』は、日本の花粉症と戦争の大砲のイメージで作りました。
杉は、戦時中に高まった軍事需要にともなって大量伐採が行われました。そのため、あとで、人工的に杉が大量に植えられたんです。これが原因で、日本には花粉症の症状がひどい人が多いという話があります。
また、近年の大気汚染でPM2.5などの話題で、ナショナリズムが煽られている印象があります。へんな話ですが、鼻炎とナショナリズムが結びつくって、なんだか面白いと感じたんです。
花粉自体は悪質なものではないのに、それでこんなに苦しめられ、敵視している人たちがいるというのも、戦争のイメージにつながりました。」




2『日の丸パンチ』

アメリカのニュース情報誌「TIMES」2012年12月号に、どきっとするような見出しが出ました。”Japan Moves Right (日本が右傾化している)”表紙には、日の丸が中心から右へとずれているデザインの絵が採用されています。
("Japan Moves Right"で画像検索するとご覧になれます)
改憲や靖国参拝に賛成している自民党が、選挙で圧勝し、メディアが盛り上がっているようすを海外から見れば、たしかに、「右傾化」しているように見えたのかもしれません。

「TIMES誌の表紙の絵をみたときに、何とも言えない違和感がありました。たしかに、海外の人が選挙結果を見れば「右傾化」だと受け取られてしまうのかもしれません。けれど、日本に住む日本人の感覚とあまりにもずれている気がするのです。
僕のまわりが特別リベラルなのかもしれませんが、体感としては、原発廃止や平和憲法を守りたいという声が多かった。それにもかかわらず、選挙結果はああなってしまったことに拍子抜けしてしまっているのは、僕だけではないと思います。

『日の丸パンチ』は、なんとか日本で生きている自分たちのリアリティを表現できないかと考えてつくった作品で、今回の展示の僕にとってのメインとなっている作品でもあります。
この映像作品のなかで、日の丸は、両端から交互にパンチをくらい、右にも左にも傾きます。パンチをしている人の手は見えますが、顔までは見えず、どういう人物なのかわかりません。
匿名の誰かが、叩くことによって、日の丸をとおして、物事を自分の望む方向に動かそうとしているというイメージです。」

長谷川さんは、さらに、自己と他者の関係性についてふれながら、日本政治のリアリティについて話してくれました。

「エドワード・サイードの著書『オリエンタリズム』には、”他者の上に構築するイメージは、自己からはみださざるを得ない否定的なイメージのゴミ捨て場と して恣意的に構築される”というふうに書かれています。 つまり、他者は、自分がどういう人間なのかを認識するためのメタ的な鏡であり、自分を肯定するために相手を否定することがあるのです。
『日の丸パンチ』でも同じことが言えます。民間レベルのリアリティとして、ネトウヨ(ネット右翼)がいたり、極端に左の人もいたりします。彼らはお互い に、マイナスなイメージをもっていて、ネット上で論争を繰り広げたり、陰でお互いをけなしあったりします。相手を否定し、”自分はちがう”と思うことで、 それぞれ自我を構築しようとしているのです。」




preongoing school をおえて-----------------------------

なるほどー。たしかに、自分が感じている日本の空気に近い気がします。政治家も、ネトウヨたちも、みんなお互いを叩きあって、不毛なケンカを繰り返してい るように見えます。なんとなく感じていたことではあるけれど、あらためて映像として見ると、「いい加減やめなよー。日の丸こわれちゃうよ」と思っちゃいま す。滑稽でおもしろいなとも思うのですが、自分の住んでいる国のことなので、のほほんと構えているわけもいきません。
現状を打破するためには、まずは自分なりに噛み砕いて理解しようとしてみること。長谷川さんの作品には、そのヒントがたくさん散りばめられています。
展示は、本日21時まで。ぜひ多くの皆様にご覧いただきたいと思います。
| プレオンゴーイングスクール | 18:56 | comments(0) | trackbacks(0) |
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