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Ongoing AIR vol.6 − 進藤冬華さん インタビュー1
Onogoing AIR 第6人目は、札幌出身の進藤冬華さん。北海道とその周辺地域をまわり、現地の人々からおそわった伝統的な手仕事をもちいて作品を制作する作家さんです。進藤さんのことをもっと知りたくて、根堀り葉掘り伺いました!
 
魚の皮をファブリックとして
 
― 進藤さん、先日は魚皮に刺繍をほどこした作品を見せてくださってありがとうございました。魚の皮が、生地に成りうるなんて今まで知りませんでしたし、刺繍もとてもきれいで、とても印象に残りました。
 
進藤 ありがとうございます。そうやって言っていただけると嬉しいです。あれは、乾燥させた鮭の皮をたたいて柔らかくした生地に、刺繍をしています。魚の皮で衣服や靴などをつくる習慣は、古くからサハリンや北海道、沿海州などの少数民族の文化にあるそうですよ。
 


― 水の近くで生活する人々にとって、身近な生地だったんですね。
 
進藤 そうですね、鮭皮は厚くて丈夫そう。魚皮の衣服などを博物館で見たことがあります。
サハリンには、いろいろな民族が混ざり合って住んでいます。まず、一番多いのは西から来ているロシア系の方たちだと思います。あとは、朝鮮系の方たち、そしてウィルタやニヴフをはじめとした少数民族の人々、アイヌの方や日系の方もいるかもしれません。
 
―  進藤さんは、どうしてサハリンのことやアイヌの人々に興味をもつようになったのでしょうか?ご親戚にそちらのご出身の方がいるんですか?
 
進藤 祖母は、日本領時代、樺太だった頃にあちらに住んでいて、第二次世界大戦後に引き揚げてきたそうです。でも、祖母が住んでいたことは、サハリンに興味をもってから知ったことです。
 
― では、やはり北海道で生まれ育ったことが、大きく影響しているのでしょうか。
 
進藤 もちろんそれは大きいでしょうね。 
あと、北アイルランドのベルファストに留学したことが、サハリンに行きたいと思うきっかけになりました。
 
日本とは何かを考えたくて、サハリンへ
 
― 進藤さんは、北アイルランドのベルファストへ留学とレジデンスを経験されてますもんね。その留学がきっかけになったとはどういうことですか?
 
進藤  ベルファストは面白いんです。とても小さい街なのにコミュニティ内に何でも揃っているんです。そして、住んでいる人たちが自分たちの文化や歴史についてよく知っていて、誇りに感じているようでした。そんな地元愛にあふれた場所で、わたしは否応なく自分が外国人であることを意識せざるをえませんでし た。

― 東京やニューヨークのような大都市ではなく、住民と地域のあいだに密接な関係がある街では、なおさら強く感じそうですね。

進藤 そう、それで「この街で、わたしは外国人であることは間違いない・・・ じゃあ、自分は何人なのだろうか? 日本人と言えるだろうか」という疑問にぶつかりました。
「日本」と言えば、多くの人が「富士山、芸者、桜」などをシンボルとして挙げますよね。でも、わたしはそのシンボルイメージと自分のあいだに直接的なつながりを見つけることができなかったんです。
そこから、「日本ってなんだろう。日本人であると感じることができないなら、自分は何なのだろう?」という気持ちが大きくなっていきました。
ベルファストから帰国後、それを考えるためにサハリンに行ってみることにしました。これが、現在の活動の始まりです。


― 「留学して、日本文化の良さを見直した」「やはり自分は日本人だと再認識した」という話はよく聞きますが、進藤さんのように「日本って何だろう」ということを根本的に問い直そうと思ったというお話は初めて聞きました。
なぜ、日本のことを考えるための場所として、サハリンを選んだのですか?
 
進藤 なんとなく、北の方へ行けばなにか手がかりが掴めるかもしれないと思ったからです。
そして、帰国以降、毎年のようにサハリンに行き人々と交流を重ねていくうちに、サハリンに住む民族の多様性や、その背景にひそむ歴史について知るようになりました。
今は、サハリンだけではなく、北海道内でアイヌの手仕事を教わったりもしています。今後は、東北のそういった文化にも興味があります
 
ー 北海道周辺をまわってみて、ベルファストで感じた疑問への答えを見つけることはできましたか?
 
進藤  うーん。日本の中の文化というのは、はっきりと境界線があるわけではなく、グラデーションのようになっているということが分かりました。民族としてはっき りと異なる部分もあるし、民族の文化がごちゃ混ぜになっている部分もある。たとえば、アイヌの着物中に、青森で見られる着物とそっくりなかたちのものや似たような刺繍の縫い方があったり して、とても面白いんです。
民族同士の歴史が絡み合い、文化や習慣がたがいに影響し合った、ごちゃごちゃした状態と政治的な力、気候や風土など様々なレイヤーが多様に混在して地域を作っていることが見えてきました。

(インタビュー2 〜ひとつひとつ丁寧に向き合い、リアクションしていく〜 へつづく)
進藤冬華「もんよう どうしよう」展 4月23日(水)〜27日(日) おたのしみに。




 
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