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原田賢幸『temper』Pre Ongoing School

原田賢幸『temper』では、なにやら理系の研究室のような機器がギャラリーに並んでいます。ん??脳波を計る機械に、感覚遮断のコミュニケーション?最終日のプレオンゴーイングスクールでは、原田さんがこういった機械をつくり作品にしようと思ったきっかけについて伺いました。

キャンセル

 

ぐるぐるうずまきの絵

7−8年前、原田さんはある高齢者施設でボランティアをしていたそうです。その施設というのは、重度の(発達)障害をもつ方たちが利用するところで、原田さんは定期的にお絵かきレクリエーションのファシリテーターとして通っていました。

利用者さんのかく絵を見守りはじめて1年ほど経った頃、かなりまとまった枚数の作品がたまったので、展覧会をひらくことにしました。絵は作者ごとにわけて展示をしていたのですが、いつも丸ばかりを描くAさん(仮名・50代)のセクションのところに、長い時間ずっと立っている80歳くらいの女性がいました。お話してみるとAさんのお母さんでした。その女性は絵をみながら「わたしはね、いまだにこの子が何を考えているのか分からないんですよ」と言いました。無数の丸の絵が並ぶ前で、途方に暮れているようにも諦めているようにも見えました。

これは、原田さんにとってとてもショッキングな体験でした。このお母さんは約50年間、自分の子供を理解できないと感じながら生き、そしておそらく(ご年齢を考えると)このまま人生を終えるのだろう。「あのとき、僕はまだ彼女にかける言葉をもっていなかったんですよね」と、原田さんは少し悲しそうでした。

 

 

感情と行動、コミュニケーション

「たしかに重度の障害をもっている方たちと、ふだん当たり前と思っている方法でコミュニケーションをとることはできないんです。でもだからと言って、彼らに意思や感情がないわけではないんですよね。

たとえばお絵かきの時間、利用者さんに『この色使ってみましょうか?』と声をかけて、目の前のパレットに色を出したりします。そういうとき、もしも嫌だったら見向きもせずに無視したりするし、もしもOKだったら黙ってその色に筆を伸ばしたりする。時間がかかったり、返事がなかったりするので、何を考えているのかはわかりにくいですが、確実に彼らのなかに『(この色を)使いたい/使いたくない・好き/嫌い』という意思や感情があって、それに基づいて行動をしているんですよね。コミュニケーションの取り方がちがうだけで、その奥にあるものは僕も利用者さんもそんなに変わらないのかもしれない。

あのとき、Aさんのお母さんが『自分の子供が何を考えているか分からない』と言ったのを聞いたときに、そういうことを言ってあげられたらよかったなぁと今は思うんです。でも、あのときはまだモヤモヤしてうまく言葉にできなかったし、やっぱり自分も言葉以外の有効なコミュニケーションが分からなかったんですよね。

それで僕は『感情と行動のシステム』に焦点をあてて、作品をつくってみようと思ったんです。たとえば言葉じゃなくて、脳に直接作用して意思疎通ができたら良いのではないかなど、どうにかして僕らが行う『普通の』やり方以外でのコミュニケーションの方法を編み出せないかと僕なりに考えて、こういった機械を作ったりしています」

 

 

本展『temper』では、感覚が遮断された状態での対話、言葉以外から引き出される感情の表現、脳に直接作用するための実験など、コミュニケーションにまつわるさまざまな試みが、原田さん自作の機器やアイディアドローイングとともに展示されていました。

ここから新しいコミュニケーションのかたちが生まれるかもしれない。

今後の原田さんも目が離せません。


あ、waiting roomもいかなきゃ。(3月8日まで)
http://www.waitingroom.jp/japanese/exhibitions/current.html

 

 

 

 

 

 

| プレオンゴーイングスクール | 21:13 | comments(0) | trackbacks(0) |
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