9月28日(土)19時より開催される「ルーマニア野外映像祭」の作品紹介&作家紹介です。当日の会場でも解説シートが配布されますが、事前に知っておくとより楽しめるかもと思う情報をここに掲載してゆきます。今回は、Paul Muresan(1988年うまれ)による、上映順△鉢Δ虜酩覆鬚款匆陲い燭靴泙后
作品2
Paul Muresan
NAP(うたた寝)
2014年
紙に手描きのアニメーション
5分22秒
「不眠症の感覚」と「短い夢の数々」に着想を得たショートフィルム。「人々は想像力の豊かさには注目するのに、実際に頭の中に広がっているスペクタクルのことは無視しがちだ。これを世界と共有すれば、内面世界を考えるプラットフォームにもなり得るのに」と、作家のPaulは考えている。
夢の内容をメモして映像にすることで、夢がただのノイズではなく、インスピレーションの源になり得ることに気付かされたという。また本作品は、夢の「謙虚さ」に対する称賛でもある。夢たちは驚きと意外性にみちているのに、たった1人に見せるためにうまれ、拍手を望むわけでもなく消えていくのだから。
作品6
Paul Muresan
Mom, Dad, I have to tell you something
(母さん、父さん、話があるんだ)
2016年
紙に手描きのアニメーション
5分41秒
ホモフォビア(同性愛者に対する拒絶と偏見)がいまだ根強く残るルーマニアで、作家から両親へのカミングアウトをテーマに制作されたパーソナルな作品。作品内で、主人公は「母さん、父さん、あなたたちは『モンスター』を作ってしまったんだよ」という説明を試みる。これは作家の「僕を理解してほしい」という叫びであり、同時に、彼が受けてきた抑圧について両親に認識してほしいという願いでもある。
この短編フィルムは、ルーマニアで初めてLGBTを題材に制作されたアニメーションであり、多様性についての議論をうむきっかけをつくり、マイノリティが声をあげ団結する手助けをした。
作家プロフィール
Paul Muresan(1988年、ビストリツァ=ナサウド生まれ) は、ルーマニアのアーティスト、ディレクター、アニメーター、イラストレーター。ビジュアルアートの分野で経験を積み、ヨーロッパ各地でパーソナルなドローイングを発表してきた。短編アニメーション『Nap(うたた寝)*』(2014)で複数の賞を獲り、アニメーション監督としての知られるようになる。その後、『母さん、父さん、話があるんだ(Mom, Dad, I Have to Tell You Something)』(2016)を発表。彼の短編フィルムは、世界各国の映像祭で上映されてきた。
現在は、博士課程で「パラレルワールドとしての2Dアニメーションで探る死後世界(death as a parallel universe explored in 2D animation)」について論文を書きながら、個人的なプロジェクトに取り組んでいる。
訳注*) ルーマニア語の原題『Pui de Somn』でも知られる。また『BABY NAP』というタイトルで紹介されることもある。
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