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淺井裕介「野生の星2」
淺井裕介『野生の星2』

 

今週末までの開催です。

 

2019.12.06 [金] - 2019.12.22 [日]
12:00-21:00 定休:月、火 入場料:¥400(セレクト・ティー付き)

 

 

以下はArt Center Ongoing 小川希による展覧会紹介です。
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少し風邪気味だったせいだろうか。その絵を前にした時、軽い目眩がした。画面がゆっくりと蠢いているかのような錯覚を覚え、同時にその中に引き摺り込まれそうな感覚に陥ったのだった。朱色の濃淡だけで出来上がった世界。その絵とは血で描がかれた淺井くんの新作だ。
気づけば淺井くんとの付き合いも10年をとうに超えている。出会った時はまだお互いに20代で、いずれ彼が世界を股にかける画家に成長するとは、当時はまだ思ってもみなかった。ひょろりとしたその若き画家は、白い壁に向かってマスキングテープを貼り、その上に黒のマジック一色で黙々と絵を描くのだった。その様子を後ろからじっと観察していると、手の運びに一切の迷いがないことがすぐに感じ取れた。テンポよくマスキングを貼ったかと思うと、その上に、枝やツタ、葉っぱが描かれ、徐々にそれらは広がりをみせていく。はじめは小さな芽だったものが、いつしか人の背丈の何倍もある大きな樹へと成長し、そこに集うように鳥やネズミやキツネといった小動物も顔を出すのだった。淺井くんの代表作の一つ「マスキングプラント」である。
浅井くんはその後も、訪れた土地で採取した土と水を使って描く「泥絵」や、アスファルトにバーナーで焼き付ける「白線」、また小麦粉を水で溶いて描く「粉絵」など、独自の手法を編み出しては絵を描き続けてきた。ただ素材が変わっても、絵を描く際の、あの迷いのない手の動きは変わることはなかった。それは彼自身の意思というよりも、何かに導かれているようでさえあるのだ。当の本人も自作について語るとき「こんなのが出てきちゃったんだよね」と嬉しそうに絵の内容を話してくれる。自分で描いたにも関わらずだ。ただその言葉は彼が描く姿を一度でも見れば誰しも納得がいくはず。淺井くんは絵を描く場所でゆっくりと呼吸をし、そこに宿った存在の声に耳を傾け、その言葉を翻訳するかのように絵を描いていくのだ。偶然その絵がその場所に現れる必然。
さて、新しい作品について。朱色の液体は、強烈な匂いを放ちながら鮮やかで深淵な色彩を放つ。その液体を筆にのせ、淺井くんの手はいつもと同じように迷いなく絵を描いていた。ただ、そこに現れた絵は、場に宿る存在に導かれて立ち現れるこれまでの彼の作品とどこか違うように感じられた。一体なぜだろう。じっとその画面を見ていると、ある時ふと、直感的にその違いがわかったような気がした。この絵は、朱色の液体=血に導かれて現れてきたものなのだと。そこには紛れもない命が描かれていて、どこか神々しかった。そしていつしか淺井くんの新しい作品に対して畏敬の念を抱いている自分がそこにいた。ああ、なんだかゾワゾワするよ。
(Art Center Ongoing 小川希)

 

 

| インターン日記 | 19:07 | comments(0) | trackbacks(0) |
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