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山下拓也さんインタビュー!

Ongoing AIR 記念すべき第1弾は、名古屋在住の山下拓也さん。

山下さんってどんな人なんだろう!と探るべく作品についてお話を伺いました。



作品と場所

 山下さんの作品には、『10cmT.REX』(2008)や『花瓶の絵(2012)など、展示をする場所の特性を利用した作品が多く見られますが、場所に着目するようになったきっかけはあるんですか?


山下 美大に入学した時、何をしても許されるとても自由な空気感がありました。僕はその自由を前にして、とても魅力的で開放的に思えた反面、うわあ、なにやろ。とどこか途方に暮れた思いだったのを覚えています。僕は、強く表現の矛先を欲していました。


表現の矛先というと?


山下 美大に入りたての頃ですし、とりあえずがむしゃらに頑張りたかった。なのに、そのパワーを向ける的がなかなか見つけれなかった。でもやる。1年生の頃から、本当に展覧会をバンバンいれまくっていました。そんな中、当たり前の事ですけど、展覧会場などの「場」は絶対そこに存在する事に気づきました。場と共に、展覧会を見に来てくれるお客さんも同じ。制作を続けて行く中で、自然に「場」や「鑑賞者」の存在が、僕の作品制作の出発点となっていきました。


 ひとことで場といっても様々な捉え方がありますよね。例えばその場所の歴史性に注目するアーティストもいますよね? 


山下 全く詳しくないですが海外の作家さんの作品でよく見る気がします。でも、僕自身がやるとなると、そういう歴史のリサーチなどは凄く苦手です。今後それらの事に興味を持ち出す自分には期待していますが、今のところは全く興味が湧かないというのが正直な気持ちです。

とゆうか、否が応でも歴史性に触れてしまうようなディープな土地で作品展示を行った経験がないので、それも大きく関係しているのかもしれません。


地域活性化のようなアートフェスティバルで、空間の美しさを再認識させることをテーマにした作品を見る機会がありますが、山下さんの作品はそれらと少しちがうような気がします。場所性を作品に取り込む際、山下さんはどのようなことを意識していますか?


山下 僕が扱うのは、場の物理性にほぼ限定している様に思います。あとは、その時の場の状況。その時の場の状況というのは、具体的には今回のOngoingの展示でいうと大木裕之さんが僕の次の展覧会を行うという事などです。自分がその場に訪れた時、単純にそこにある事実。場に対して他者である自分がしっかりと制作に自覚を持てる範囲で制作をしたいと考えています。まだまだ若造ですが、そうゆう美学みたいなものは少ない経験の中で出来上がっていきました。


 おもしろいですね。「場」と作品の関係をもう少し伺う上で、山下さんの前々回Ongoingで展示を行っていた柴田祐輔さんについて少しお聞きしたいと思います。柴田さんが黄金町バザールでやっていたお蕎麦屋さんの作品『昨日の準備(2010)はご覧になりましたか?


山下 資料で拝見しました。柴田さんとは、搬入のお手伝いもさせてもらいましたし、お手伝いもして頂きました。今回のレジデンスの中で最も長い時間ご一緒させて頂いた作家さんであったと思います。とても魅力的な作家さんです。『昨日の準備』についてですがお蕎麦屋さんと売春宿の関係についてのトピックはもちろんめちゃめちゃおもしろい。でもそれ以上に柴田さんの衝動というか熱気がハンパないです。そうゆう場のトピックをバクっと食っちゃう、そしてモンスターみたいになっちゃう柴田さんの作品は本気で感激しました。そしてかなり勉強になりました、Ongoingのレジデンス呼んで頂いて感謝です。小川さんありがとうございます。

 10cmT.REX』(2008

花瓶の絵(2012)


理性と衝動            


柴田さんのお話の中で「衝動」という言葉がありましたが、山下さんの中での「衝動」とは?そしてそれと相対する「理性」についてどう思われますか?


山下 「理性」と「衝動」両方のバランスを大切にしたいといつも意識しています。作り方の話ですが、様々な要素をを組んで行くように作ります。要素のバランスについては最も気にしているところではあります。


ん?どういうことでしょう?


山下 よくある話ですが、どうしても派手な色彩を使った作品をつくりたいと思う、これは「衝動」です。でも、「衝動」だけじゃ僕は作りません。まあ作ればいいのですが、それだけではなかなか強度が見い出せません。しっかりと強度を持った作品と同時に展示して、なにか飛び道具のような感覚を狙って作る事はたまにありますが、それ単体では今のところ難しいです。でも何の魂胆もなく衝動で木彫とか彫っちゃうようなテンションもその側面で持ってみたいです。


 ーうーん、なんとなく分かる気がします。


山下 平日働いているから、土日は心置きなく遊べる。逆に、土日に遊べるから平日は一生懸命働くみたいな。自分ルールではありますが、作品を具現化させる条件が出そろえば、あとは思いっきり好きな事が出来るんです。そのバランスがうまくとれるようになったのが、飛び出す絵本の『幅10cmTREX』(2008)だったように思います。 


作品モチーフについて


あの飛び出し絵本の作品、面白いですよね。山下さんにとって転機となった作品だったんですね。ああいう作品のアイディアは、どうやって生まれているんですか?


山下 日頃から気になっているものは色々あるんです。飛び出す絵本の構造って凄いな!とか、ハンガーを頭にはめたら勝手に頭が回転する現象!とか、ネットオークションにアップされている後ろ向きのぬいぐるみなどの写真とか、金庫が顔に見えた!とか。そういう「衝動」のストックみたいなのは常にあります。そこで、展示のお話をもらうと、場所の特性を見て、「衝動」リストからピックアップして作品にまでもっていく事が多いです。


作品のモチーフ選びに基準はあるんですか?


山下 本当にチープでしょうもない発見などがほとんどなのですが、自分自身しっかりと責任を持てる範囲って本当そのくらいなんです。

京都の大学院へ行ったのですが、なにかを言い切ったり、何かについて責任を持つ事の難しさを思い知りました。

少し話しが変わるかもしれませんが、物事を眺める時の自分が実感や責任を持てる視点の話になるように思います。またぶっ飛んでよくわからない話かもしれませんが、そのモチーフが「どれくらいキャッチか」で選びます。自分の中で、キャッチ度のバロメーターのようなものがあって、モチーフとして判断するときに、「これはキャッチ50くらいかな」とか「これは80くらいかな」みたいに、数値で見ているところがあります。そのとき、モチーフがもっている意味内容は全く無視しています。無視というか鑑賞者が無視できるような構造を作ってるように思います。

「そのバロメーターの基準を言えたりしやんの?」とよく訊かれますが、その場その場でバロメーターの基準自体が変化すると思います。なので一概にこうだとなかなか言いにくい。でもまあ何か鑑賞者にとって「効く作品が作りたい」って事が重要な事なのは確かです。

んー、でも言えるのかな?そこらへんの探求まだサボってます。


モチーフをキャッチー度で見ているっておもしろいですね。モチーフの意味内容を無視できる構造というのは、どういうことなのでしょうか?


山下 今回のOngoingの展示では、タイトルからも分かるとおり、大木裕之さんが僕の次の展覧会アーティストだという事をモチーフとしています。もし、モチーフの意味内容を作品に持ち込むのであれば、大木さんの作品世界にも目を向け始めるのかもしれません。でも、僕はそういうことしていません。繰り返しになりますが、大木裕之さんがモチーフではなく、大木裕之さんが僕の次の展覧会アーティストだという事がモチーフです。大木さんであって、それは全く大木さんではないんです。そうやって意味内容が生じないよう、そもそもモチーフ選択の時点で配慮しているんだと思います。


どうしてあえて意味が生じないようにしているのでしょうか?


山下 なんか実感を持ちにくいからです。その部分に全く関心が無いからこそ、獲得できる視点や方法の発見を期待しています。


―自分がきちんと実感できることしか作品に含めたくないんですね。


山下 大学院は名古屋を離れ、京都市立芸術大学の彫刻専攻に在籍していました。またまた繰り返しですが、そこで何かについて言い切ることの難しさを思い知ったんです。何かについて僕自身が、言い切ることが全く出来なかった。自分の根源的なものは何だろうと、今一度自分自身に問いかけた時、ものを作ることが好きだと思えました。いろいろある中で、やっぱりものを作ることが好き。そのことが自分の中で、最も確かなものだと思ったんです。だから僕は、ものが作るということを出発点として、どうにかそのことの言い訳を考えながら、作品制作を行っているのだと思います


 

(2013年5月15日〜5月21日/オンゴーイングにてインタビュー)


山下拓也Ongoing個展

「NEXT EXHIBITION / 大木裕之『うちんこ2』」

5月15日(水)〜26日(日)入場料400円(お茶付き)


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